明智光秀ゆかりの地 時宗 称念寺 最愛の妻とともに再起を図った10年間
謎多き明智光秀
2020年のNHK大河ドラマ「麒麟がくる」の主人公でもある明智光秀は、織田信長に仕えた重臣の一人でありながら、本能寺の変で信長を自刃に追い込みました。短期間ながら天下人となりましたが、彼の前半生に関する史料はほとんどなく、謎に包まれています。光秀の一生を記した江戸時代の物語『明智軍記』には光秀が信長に仕える以前の記述など他の書物には見られない興味深い記載が多くあります。しかしあくまでも光秀の死後100年以上経って書かれた物語です。光秀の足跡において確実と言える部分はあるのでしょうか。
『明智軍記』には光秀は美濃を追われた後、越前に入ったと記されています。そして越前の大名朝倉義景の元に仕える前、称念寺(現在の坂井市)の寺地に妻子を住まわせていたこと、また称念寺の僧とともに山代温泉に湯治に行く途中で三国湊や雄島を遊覧した事、光秀が三国の船人に日本海上の航路や沿岸の湊について尋ねた事などが記されています。
実はこの記述の一部を裏付ける資料があります。時宗の指導者である同念という僧が天正6年から8年の間に東海・畿内各地を巡った際の記録で『遊行三十一祖京畿御修行記』という史料です。信長ら武将たちとの交流などが記され、当時の社会情勢を理解するうえで貴重なものです。史料には「光秀はかつての越前の朝倉義景の元にいたころに十年間称念寺の門前に住んでおり、その時からの友情で、遣わした僧が光秀居城の坂本城(滋賀県)にしばらく留まった」と記されており、光秀が称念寺門前に居住していたことがわかります。
ちなみに、俳人の松尾芭蕉が弟子の温かいもてなしを受けた際に、かつて光秀の妻煕子が自分の髪を売って金を工面し、光秀を助けたという逸話を思いだし、「月さびよ 明智が妻の咄しせむ」という句を詠んだとされ、その句碑も称念寺に建っています。越前にいて再起を図っていた光秀。彼は現在の坂井市の花鳥風月を見聞きしながら、夢と野心を胸に抱いていたかもしれません。
出典:みくに龍翔館 学芸員 角 明浩
称念寺
休み | 無し |
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アクセス | 坂井市丸岡町長崎19-17 電車:JR丸岡駅本丸岡行き京福バス 舟寄バス停で下車し徒歩10分 車:北陸高速道路 丸岡ICから車で約5分(一本田交差点経由) |
問合せ先 | 称念寺 0776-66-3675 http://shonenji.net/ |
煕子(ひろこ)黒髪伝説
明智光秀公は弘治2(1556)年に斎藤義龍の大軍に敗れ、妻の煕子や家族と伴に、称念寺に逃れます。『明智軍記』には、称念寺住職と和歌を詠み、漢詩を作ったことが記載されています。称念寺門前に寺子屋を開きますが、生活は貧しく仕官の芽もなかなか出ませんでした。やがて朝倉の家臣と連歌の会を催す機会を、称念寺の住職が設定します。貧困の光秀には資金がない中、連歌の会は煕子の用意した酒肴で大成功に終わり、やがて光秀は朝倉の士官が叶います。しかしその連歌の会の資金は、実は煕子が自慢の黒髪を売って用立てたものでした。光秀はこの妻の愛に応えて、どんな困難があっても必ずや天下を取ると誓ったのです。
この夫婦愛の物語は称念寺門前の伝承になり、江戸時代の松尾芭蕉が「奥の細道」の旅の途中に取材しました。その後芭蕉は弟子である伊勢山田の斉藤又玄宅を訪れた際、才能がありながら貧しいため出世できないと悩む又玄に『月さびよ 明智が妻の咄しせむ』の句を贈って励ましたのです。
意味は「又玄よ、今は出世の芽が出ていないが、あなたはそれを支える素晴らしい妻がいるじゃないか。今夜はゆっくり明智の妻の黒髪伝説を話してあげよう」とでも訳せましょう。芭蕉の師弟愛がうかがえます。
細川ガラシャ生誕の地
1563年お玉(光秀の娘 後の忠興の正室細川ガラシャ)が称念寺の門前で誕生した。
光秀夫婦の夫婦愛を見ながら育ったお玉も両親に劣らぬ夫婦愛に生きた方でした。お玉の生き方が天下分け目の関ケ原の戦いに影響したと言われるくらいですから、その夫婦愛は母の煕子譲りの筋金入と言えましょう。
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1.明智光秀の逸話や居住したといわれている称念寺周辺をご案内します。
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※上記1+2(50分以上)又は1のみ(約30分)でのご案内となります。2のみでの受付は出来ません。
時間 | 9:00~16:00 |
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料金 | ガイド料:1団体20名ごとにガイド1名@1,000円 |
休み | 年末年始 |
訪問時期 | ガイド所要時間約40分(お時間は相談に応じます) |
問合せ先 | 明智光秀ゆかりの称念寺観光おもてなし実行委員会 DMOさかい観光局内 https://kanko-sakai.com/feature/detail.php?id=9 TEL:0776-82-1555 FAX:0776-82-6988 e-mail:akechi@kanko-sakai.com |