北前船の歴史が残る レトロな空間 三國湊レトロ
三國湊の歴史と概要
福井県一の大河「九頭竜川」の河口に位置する坂井市三国町の三國湊は、千年以上昔の文献にも「三国」という地名の記述があるほど昔から栄え、歴史がある町です。
古来より三國湊は、九頭竜川やその支流「足羽川」などを使った水運による物流の拠点で、戦国時代の武将「朝倉義景」が居城を構えた「一乗谷朝倉氏遺跡」内の庭園跡には、船によって運ばれてきた東尋坊周辺の岩が庭石として残っています。また、朝倉氏の後福井を治めた「柴田勝家」も水運を重視し足羽川近くに居城「北の庄城」を構え、荷揚げ用の港を設けていました。
江戸中期になると、狭い範囲で行っていた水運・海運が、それらの港をつなぐ海上航路へと発達し、「北前船交易」が始まります。三國湊においても、海運で上方(関西)・瀬戸内・山陰・東北・北海道から物品が集まり、物流の一大集積地としてにぎわいだすと、湊町には北前船を所有する廻船問屋をはじめ、様々な物品を販売する商店らが軒を並べ、町は大きく発展しました。
その繁栄は、明治に入ってもしばらく続きましたが、鉄道が開通し、物流の中心が船から鉄道へ移りだすと、次第にその輝きを失っていきました。
三國湊には、北前船が残していった歴史・文化はもちろんのこと、格子戸が連なる町家、豪商の面影が残る歴史的建造物など、情緒ある町並みが残ります。
三國湊レトロ
このように情緒あるレトロな雰囲気の三國湊ですが、この町のもつ意義を伝える術がありませんでした。そこで、2016年春に、新しく三國湊の海運と文学がテーマのミニ資料館「マチノクラ」がオープンしました。館内で展示されている、三國湊の歴史的、文化的資料や竹下景子さん主演のガイダンスムービーをご覧いただいた後、往時を想いながら町歩きをしていただくという、趣深い観光スタイルが生まれつつあります。この「マチノクラ」、そして、町の繁栄を今に伝える江戸時代の町家「旧岸名家」、大正の近代化遺産「旧森田銀行本店」の三舎をレトロな町歩きの核として旅人をお迎えいたします。また、三國湊レトロには、案内役のボランティアガイドや、美味しい味がたくさんあります。歴史と風情がある三國湊町を散策しながら、往時の繁栄の面影をたどり、いろんな美味しいものを味わってみてはいかがでしょうか。
時間 | 10:00~17:00 |
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料金 | 150円/人(中学生以下は無料) ※旧岸名家(100円/人)とのセット割引入場券をご利用いただくと50円割引きの200円/人となります。 |
休み | 12/29~1/3 |
訪問時期 | 通年 |
アクセス | 〔 車 〕 ・県道7号三国東尋坊芦原線の「今新」交差点を三国駅方面へ。すぐ右手に見える銀行を右折、すぐ。 〔 公共交通 〕 ・えちぜん鉄道三国駅から徒歩約5分 |
問合せ先 | 一般社団法人三國會所 (0776)81-8392 |
旧岸名家
岸名家は、江戸時代から明治にかけて三國湊の商業の中心であった北前船交易において、材木商を営んでいた三国湊を代表する豪商の一つ。その家が今でも残っており、建物内を見学することができます。
主屋は、妻入屋根の正面に平入り下屋がつく「かぐら建て」と呼ばれる三国独特の建築様式が特徴です。
入り口部のある土間は、かつて店だったところ。右手には帳場がそのまま残っています。
土間から建物の奥へと続く細長い通路は、昔は大八車が材木を積んで行き来した通路。今はトイレのところで通路は途絶えていますが、昔は更に奥まで伸びていて、家の裏にあった船着場まで続いていたそうです。
また、土間や通路には、福井市にある足羽山から採石された「笏谷石(しゃくだにいし)」が敷詰められており、長年の人や物の行き来で表面が削れ、デコボコしています。
畳の間の奥には「水琴窟(すいきんくつ)」があり、杓子で水をたらすと聞こえてくる、涼やかな音を楽しむことができます。
時間 | 09:00~17:00 15~30分程度 (施設スタッフから詳しい説明を聞くことができます) |
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料金 | 100円(マチノクラとのセット割引入場券あり。※上記、マチノクラ内参照) |
休み | 12/29~1/3 |
訪問時期 | 通年 |
アクセス | 〔 車 〕 ・県道7号三国東尋坊芦原線の「今新」交差点を三国駅方面へ。すぐ右手に見える銀行を右折、すぐ。 〔 公共交通 〕 ・えちぜん鉄道三国駅から徒歩約6分 |
問合せ先 | 旧岸名家 (0776)82-0947 |
旧森田銀行本店
森田家も三国湊を代表する豪商の一つ。
森田家は明治の中頃まで廻船業を営んでいましたが、海運の衰退をいち早く察知し、金融業へと転換を図りました。銀行は大いに成長し、1920年(大正9年)、この建物が新しい本店として建てられました。
外観は西洋風のデザイン。中に入ると、その豪華さに目を見張ります。大きな吹き抜けの空間、天井の漆喰、カウンターのケヤキの一枚板、重厚な金庫の扉、窓枠や壁に施されたきれいな象嵌(ぞうがん)など、派手な贅沢さではなく、品の良い優美さが感じ取れます。
この建物は、森田銀行と合併した福井銀行の支店として近年まで営業されていましたが、現在は有形文化財に登録され、館内を無料で見学することができます。
時間 | 09:00~17:00 15~30分程度 (施設スタッフから詳しい説明を聞くことができます) |
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料金 | 入場無料 |
休み | 12/29~1/3 |
訪問時期 | 通年。1階ホール(事務所跡)では不定期でいろいろな展示が行われています。 |
アクセス | 〔 車 〕 ・県道7号三国東尋坊芦原線の「今新」交差点を三国駅方面へ。すぐ右手に見える銀行を右折、すぐ。 〔 公共交通 〕 ・えちぜん鉄道三国駅から徒歩約7分 |
問合せ先 | 旧森田銀行本店 (0776)82-0299 |
時間 | 09:00~17:00 見学のみなら15分程度 |
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料金 | 無料(レンタサイクル 2時間 300円) |
休み | 12/29~1/3 |
訪問時期 | 通年 |
アクセス | 〔 車 〕 ・県道7号三国東尋坊芦原線の「今新」交差点を三国駅方面へ。すぐ右手に見える銀行を右折、すぐ。 〔 公共交通 〕 ・えちぜん鉄道三国駅から徒歩約6分 |
問合せ先 | 三国湊町家館 (0776)82-8392 |
時間 | 10:00~17:00(2~3月は11:00~16:00) 入場のみなら所要5分程度 |
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料金 | 入場無料。 食事は、三国バーガーやみなとラーメンなどのメニュー有 |
休み | 水曜、年末年始 |
訪問時期 | 通年 |
アクセス | 〔 車 〕 ・県道7号三国東尋坊芦原線の「今新」交差点を三国駅方面へ。すぐ右手に見える銀行を右折、すぐ。 〔 公共交通 〕 ・えちぜん鉄道三国駅から徒歩約5分 |
問合せ先 | 三國湊座 (0776)81-3921 |
三國湊の見どころ(足を延ばして)
日和山(ひよりやま)金鳳寺(きんぽうじ)・出村の町並み
北前船交易が盛んだった頃、三国湊町には全国から様々な文化が入ってきました。その頃上方ではやっていた俳諧(はいかい)(俳句を詠むこと)もその一つ。
三国湊町の日和山に建つ「金鳳寺」では、豪商などの有力商人たちが俳諧を楽しむため吟社(ぎんしゃ)(俳句を楽しむ団体)をつくり、御堂などから船の往来や風景を眺めながら句会を催していました。
日和山吟社については、旧岸名家の2階にゆかりの品々が展示されています。
また、日和山金鳳寺そばには、第1回芥川賞候補になった昭和を代表する作家「高見順」の生家があります。
ちなみに、「日和山」という地名は全国各地にあり、港近くにある高台で船の行き来や天気を眺めていたところだそうです。
三国湊町の「出村」といわれる辺りは、昔花街があったところ。昔の豪商など有力商人たちが毎夜お座敷遊びをしていたといわれ、昭和初期の若旦那衆の写真は、出村にある料亭で見ることができます。
三國湊座前には、三味線の音色や小唄を聞きながらお茶を飲むことができる店があり、出村界隈のお座敷で奏でられていた三味線の音色や雰囲気に触れられます。(三味線の演奏体験もできます。)
時間 | なし (出村や湊町の飲食店は夜でも営業していますが、夜間の湊町散策はご遠慮ください) 所要は、日和山金鳳寺境内散策5~10分程度、出村界隈の散策は15~30分程度 |
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訪問時期 | 通年。ただし、雨天や積雪時にはご注意ください。 |
アクセス | 〔 車 〕 ・県道7号三国東尋坊芦原線の「今新」交差点を三国駅方面へ。すぐ右手に見える銀行を右折、三国湊町家館や旧森田銀行本店の駐車場を利用して。散策を始めてください。 〔 公共交通 〕 ・えちぜん鉄道三国駅から徒歩約5~10分 |
問合せ先 | 坂井市三国観光協会 (0776)82-5515 |
瀧谷寺
三國湊町には多くの寺社がありますが、その中でも、瀧谷寺は三国最古の寺院です。南北朝時代の永和元年(1375年)、睿憲上人によって開山されました。真言宗智山派の瀧谷寺は中世には、越前の国を治めた朝倉氏や柴田勝家、福井藩主の松平家、丸岡藩主の有馬家ら、歴代領主の祈願所として、厚い信仰を受け栄えました。老杉に覆われた石畳の参道に足を踏み入れると、俗世間と離れた凛とした空気を感じることができます。境内には国指定重要文化財である本堂、観音堂、庫裏、山門、鎮守堂、開山堂などの貴重な建造物が多く、柴田勝家がお市の方を妻に迎えたおりに寄進したという鐘楼門も今も当時のままの姿で残っています。宝物殿には国宝の金銅毛彫宝相華文磬をはじめ、貴重な仏像・仏画や古文書があり、また、昭和4年に国指定名勝庭園として福井県下初の指定を受けた山水庭園は、小池のほとりに老松や銘石、石灯篭などを巧みに配した素晴らしい名園です。春には、梅や桜、冬には雪吊りなど、四季を通じて来訪者の目を楽しませてくれます。
時間 | 8:00~17:00(11月1日~2月末は8:00~16:30) 各々、30分前に受付終了。拝観所要時間は約40分。 |
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料金 | 大人500円、中高生300円、小人200円 |
休み | 無休 |
訪問時期 | 通年 |
アクセス | 〔 車 〕 ・北陸自動車道金津ICから国道305号線を経由して三国方面へ約20分 〔 公共交通 〕 ・えちぜん鉄道三国駅から徒歩約10分 |
問合せ先 | 瀧谷寺 (0776)82-0216 |
エッセル親子ゆかりの地
三国突堤
江戸から明治にかけて北前船交易で経済的に豊かだった三国湊町では、明治維新後、北前船船主ら豪商の財力により、いち早く西洋の文化が取り入れられ、三国湊町の発展に大きな影響を与えました。
その代表が、オランダ人技師のG.A.エッセルが携わった「三国突堤」と「龍翔小学校」。
西洋的な工法で作られた三国突堤は、現在でもその当時の姿をとどめています。
三国港は昔から天然の良港で、北前船交易で栄えていましたが、福井一の大河・九頭竜川から流入する土砂の堆積で港内の水深が浅くなるという問題に悩まされていました。
明治元年(1868年)の洪水でその問題はさらに深刻となり、ついに三国の豪商らの発起により港内の土砂堆積を防ぐための突堤工事に取りかかることになったのです。
その工事に、オランダ人技師のG.A.エッセルが派遣され、調査や測量・設計に携わりました。
工事に必要な石材は、東尋坊やその沖に浮かぶ「雄島」の岩盤からダイナマイトで発破して採取したそうです。
突堤工事も沖へと進むにつれ大変な工事となりましたが、着工から2年7ヶ月後の明治13年(1880年)に、ようやく第一期工事分の520mが完成しました。その後、411mの新突堤が増設され、現在の姿となりました。
この三国突堤は国重要文化財の指定を受けています。
時間 | なし (ただし、夜間の来訪は控えてください) |
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訪問時期 | 春夏秋季 (突堤からは、三国湊町や東尋坊・雄島などを眺めることができます。) 風の強いときや波が高いときは危険ですので、来訪を控えてください。 |
アクセス | 〔 車 〕 ・県道7号三国東尋坊芦原線沿いにある、三国温泉ゆあぽ~との裏手 〔 公共交通 〕 ・えちぜん鉄道三国港駅から、徒歩約5分 |
問合せ先 | 坂井市三国観光協会 ℡0776-82-5515 |
みくに龍翔館
えちぜん鉄道「三国駅」から「エッセル坂」と呼ばれる小道をいくと、三国の町を見下ろす高台に見えてくる奇抜な建物が「みくに龍翔館」(三国郷土資料館)です。
三国の歴史・文化を伝えるこの建物は、明治12年(1879年)にG.A.エッセルが設計して建てられた、五層八角の白亜の龍翔小学校を模して造られたもの。当時、龍翔小学校は、奇抜な外観で地元の人から「こうもり傘学校」と呼ばれ親しまれた。
館内は3階にわたって展示コーナーが設けられ、三国の自然(1階)、三国湊の発展(2階)、三国の近代文学や暮らし(3階)について写真、資料、遺品、模型などで細かく紹介されています。
最上階4階の展望室はパノラマ展望台で、三国湊町を見下ろすことができ、美しい日本海や古い街並みの景色を愉しむことができます。
また、展望室にはトリックアートの作品も展示されています。
G.A.エッセルの息子は、だまし絵で有名な画家M.C.エッシャー。三国では、エッシャーにちなみ「トリックアートコンペ」が行われていた時期があり、今でも町のあちこちでトリックアートを見ることができます。
時間 | 09:00~17:00 |
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料金 | 大人300円、小人150円 |
休み | 水曜 |
訪問時期 | 通年 (不定期に特別展や講演会等を開催) |
アクセス | 〔 車 〕 ・国道305号線の「覚善」交差点を成田山方面へ曲がり、坂道を登りきったところ。 〔 公共交通 〕 ・京福バス「永平寺東尋坊線」「金津東尋坊線」の三国観光ホテル前バス停下車、すぐ。または、三国駅前バス停下車、徒歩約9分。 えちぜん鉄道三国駅下車。駅前にある階段からエッセル坂を辿って、徒歩約9分。 |
問合せ先 | みくに龍翔館 0776-82-5666 |